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日常生活で血圧を下げるには

[2024.08.11]

高血圧の治療は日常生活における良くない生活習慣の改善と、必要に応じてのお薬での治療になります。日常生活で血圧を下げるには減塩を中心とした食生活の改善と定期的な運動の習慣化などがあります。今回は高血圧改善のための日常生活でのポイントをお伝えいたします。

減塩

血圧といったらまずは塩分を摂り過ぎないことが頭に浮かぶと思います。日本の高血圧治療のガイドラインでは高血圧の方は1日あたり6g未満の塩分摂取が推奨されています。日本人の平均塩分摂取量は平均値で男性で10.9g、女性で9.3程度のため(令和元年国民健康栄養調査)、意識して塩分を減らす必要があります。どのくらい自分が塩分をとっているか分からない場合には、尿から1日のおおまかな塩分摂取量を調べることができます。自分では塩分を控えているつもりでも実は多かったり、きちんと減塩できているかの確認に役立ちます。当院でもできますので気になる方はお気軽にお伝えください。

減塩について簡単にできることとしてはお醤油やお味噌の代わりにお酢など塩分の少ない調味料を使う、お味噌汁を作るときは具を多くしてスープを少なくする、漬物は浅漬けにする、ラーメンやうどんを食べるときはスープを残すなどがあります。

減塩による大きな成果を出した国がイギリスです。イギリスはもともと塩分摂取が多い国でした。イギリスではパンに含まれる塩分が塩分の摂り過ぎの大きな原因の1つでした。そこで大手メーカーにパンの塩分を減らすよう働きかけました。当然塩分が減れば、味が薄くなり買わなくなる人が増えるためメーカー側は嫌がりました。しかし徐々に塩分を減らす場合には、気づかれないという研究結果をもとにメーカーの協力を取り付け、7年間かけて徐々にパンの塩分を減らしていき、最終的には20%の減塩ができました。その後国民当たりの塩分摂取量は1日1g以上減少、さらに脳卒中や心臓病が40%減少、国の医療費も大幅に削減することができました。

減塩で気を付けることとして、高齢で筋力が低下している場合や栄養状態が悪い方の場合には減塩によりさらに食事がすすまなくなり筋力低下や栄養状態が悪化する場合があります。この場合にはそれぞれの方の体格や栄養状態をみて個別に判断する必要があります。

減塩 いらすとや に対する画像結果

野菜を食べる

野菜や果物に含まれているカリウムは血圧を下げる効果が期待できます。ただし果物は食べすぎると体重が増えたり、血糖値が上がったりする可能性があるため野菜をたくさん食べるのが良いでしょう。腎臓が悪い方はカリウムの摂り過ぎは良くない場合がありますので、必ず主治医の先生に確認しましょう。

野菜のイラスト「カゴに盛られた野菜」 | かわいいフリー素材集 いらすとや

体重を適正にたもつ

体重増加に伴い高血圧になる可能性が高まります。体重を1kg減らすことにより収縮期血圧(上の血圧)は約1.1、拡張期血圧(下の血圧)は0.9下がると推定されています。日本人の肥満者を対象にした研究でも3%以上の減量で明らかに血圧が下がることが示されています。加えて体重を適正に保つこと自体が糖尿病や心筋梗塞、脳卒中、脂肪肝、膝などの整形外科的疾患の予防になるので大切です。

体重計に乗る人のイラスト(男性) | かわいいフリー素材集 いらすとや

 

運動を行う

運動により収縮期血圧で2~5、拡張期血圧で1~4の血圧低下が期待できます。加えて運動することで肥満の方は体重減少にもつながり、さらなる効果が期待できます。早歩きなどの有酸素運動を毎日30分以上行います。また筋力トレーニングやストレッチ運動を組み合わせるとさらに効果的であり、怪我の予防にもなるのでおすすめです。ランニングマシンで走る人達のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

禁煙する

1本の紙のタバコを吸うと少なくとも15分間は血圧が上昇します。また喫煙自体が脳卒中や心臓病のリスクです。保険診療で禁煙治療も受けられるのでぜひ禁煙しましょう。ただし禁煙すると多くの場合体重が増えるので食事量や内容に気を付けましょう。

お酒を控える

お酒は定期的に飲むと血圧があがります。またお酒を飲むと食欲も出るので体重が増えたり、塩分のとりすぎにつながりやすくなります。飲むのであれば1日あたりビールなら中瓶1本、日本酒なら1合、焼酎なら0.5合程度にしましょう。

その他について

寒さは血圧をあげますので冬は暖かくしましょう。ストレスも高血圧になりやすくなります。便秘もいきむと血圧が上がりますので普段から食物繊維の摂取や必要に応じて便秘薬を使い、便秘を予防しましょう。

 

以上のことを組み合わせて行うことでさらに血圧を下げる効果が期待できます。なお減塩や運動については持病などにより行わない方がよい場合もありますから、主治医の先生とよく相談して行いましょう。

参考図書

高血圧治療ガイドライン2019

高血圧診療ガイド2020

 

 

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