骨粗しょう症検診を受けましょう。
令和8年度から本宮市や大玉村でも骨粗しょう症の施設検診が開始されます。今回は骨粗しょう症の概要と、施設検診についてご案内いたします。
骨粗しょう症の基礎知識と骨折のリスク
骨粗しょう症は、骨密度の低下や骨の質の劣化により、骨がもろくなり骨折しやすくなる疾患です。検診では骨密度を測定し、その数値に基づいて診断を行います。
| 診断項目 | 診断基準 |
|---|---|
| YAM(若年成人平均値) | 数値が70%以下の場合、骨粗しょう症と診断されます。 |
| 既存骨折の有無 | 数値が80%未満であっても、手首などの骨折歴がある場合、または数値に関わらず椎体や大腿骨を骨折している場合は骨粗しょう症と診断されます。 |
骨粗しょう症を放置すると、特に椎体や大腿骨を骨折した場合、激しい痛みや歩行困難を招き、将来的に寝たきりの状態になる恐れがあります。実際に、日本で介護が必要になる原因の第3位は「骨折・転倒」であり、その背景には骨粗しょう症患者の増加が深く関わっています。
なぜ骨密度は低下するのか?主な原因とリスク因子
骨密度は20代でピークを迎え、加齢とともに減少します。骨は常に「古い骨を壊し、新しい骨を作る」というリモデリングを繰り返していますが、女性の場合は閉経によるエストロゲンの減少で、骨の破壊が急速に進みます。そのため、閉経後の女性は男性よりも発症リスクが高いのが特徴です。
また、生活習慣も大きく影響します。運動不足や喫煙、過度の飲酒に加え、カルシウムやビタミンDの不足も大きな要因となります。
本宮市・大玉村・二本松市の施設検診について
各自治体が実施する骨粗しょう症施設検診の対象者および詳細は以下の通りです。
- 対象:40・45・50・55・60・65・70歳の女性
- 除外:すでに治療中の方、妊娠中またはその可能性がある方
検査方法には、精密な測定ができるDXA法と、簡易的なDIP法などがあります。当院で受診される場合はDIP法となります。もし簡易検査で「要精検」と判定された場合は、改めて別の施設でDXA法による精密検査を受けていただく必要があります。
診断後の適切な治療法と生活習慣の改善
診断後は、食事や運動などの生活習慣の改善と並行して、適切な薬物療法を開始します。
食事療法:骨を強くする栄養素
| カルシウム | 乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆製品 |
|---|---|
| ビタミンD | 魚類、きのこ類 |
| ビタミンK | 納豆、緑黄色野菜 |
| タンパク質 | 肉、魚、卵 |
栄養バランスの良い食事を継続することが大切ですが、持病がある方は内容について必ず医師に相談してください。
運動療法と日光浴の効果
適度な運動は骨密度の維持だけでなく、筋力やバランス能力を高めて転倒を予防する効果があります。また、屋外で日光(紫外線)を浴びることで、体内でビタミンDが生成されます。無理のない範囲で活動を増やしましょう。
薬物療法の種類とそれぞれの特徴
治療薬には大きく分けて「骨の破壊を抑える薬 」と「骨を作るのを助ける薬」があります。患者さんの年齢や骨密度の数値、骨折の既往などから総合的に判断して最適な薬剤を選択します。
| 選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM) | 骨の破壊を抑える骨吸収抑制薬に分類されます。女性ホルモンであるエストロゲンと同じような作用で骨の破壊を抑えます。骨を強くして骨折を抑える効果以外にも乳がんの発生を抑える効果も有しています。 |
|---|---|
| ビスホスホネート薬 | 骨の破壊を抑える骨吸収抑制薬に分類されます。だいたい3年間の使用で骨密度が3%~10%程度増加し骨折を予防します。投与により骨に沈着するので数年間使用後に休薬しても効果が持続します。 |
| デノスマブ(抗RANKL抗体) | 骨の破壊を抑える骨吸収抑制薬に分類され、6ヶ月に1回の皮下注射薬になります。良好な骨密度増加と骨折抑制効果があります。注意点として、自己判断で治療を中断するとリバウンドで骨密度が低下する可能性があります。 |
| PTH1型受容体作動薬 | 骨を作るのを助ける骨形成促進薬に分類されます。注射薬で毎日注射や週1回タイプ、週2回タイプがあります。高い骨折抑制効果を有し、骨折の危険性が高い方が主な対象となります。 |
| 抗スクレロスチンモノクローナル抗体 | 骨を作るのを助けるだけでなく、骨が壊れるのを抑える効果も併せ持っています。1ヶ月に1回の注射製剤で、12回(12か月)行います。高い骨密度増加効果があり、こちらも骨折リスクの高い方に適応されます。 |
投与期間が決まっている薬もあり、色々な薬を組み合わせながら長期に渡っての治療が必要になります。また、ビタミンDが不足しているとお薬の効果が十分に出ないため、ビタミンD製剤を併用することが多いです。
重大な合併症「ドミノ骨折」を防ぐために
一度骨折を起こすと、その周囲の骨に負担がかかり、次々と骨折が連鎖するドミノ骨折の状態に陥ることがあります。これを防ぐためには、早期発見と適切な治療の継続が何よりも重要です。検診対象となる年齢の方は、ぜひこの機会に施設検診を活用してください。
