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2回目の肺炎球菌ワクチン、打った方がいいですか?

[2025.02.05]

65歳の方を対象に肺炎球菌ワクチンの定期接種が行われており、すでに接種された方もいらっしゃると思います。2回目の接種はしたほうがよいのかとよくご質問を受けますので、今回は肺炎球菌ワクチンについてご説明いたします。

そもそも肺炎球菌とは?

莢膜(きょうまく)という厚い膜に覆われた菌で莢膜の違いにより約100種類に分類されます。20~40%の子供の鼻やのどにくっついていて、子供の咳やくしゃみに含まれている肺炎球菌を大人が吸い込み、肺炎などになると考えられています。普通に生活している成人が発症する肺炎(市中肺炎)において最も原因となる細菌が肺炎球菌です。肺炎球菌ワクチン接種により、肺炎の発症率、肺炎による入院や死亡率を抑制することが認められています。

肺炎球菌ワクチンについて

肺炎球菌ワクチンは2025年2月時点でニューモバックス、バクニュバンス、プレベナー20の3種類があります。ニューモバックスは23種類の肺炎球菌に効果が期待できます。弱点は他の2つのワクチンと比べて免疫効果が低く徐々に効果が低下していきます。一方でバクニュバンスとプレベナー20はコンジュゲートワクチンという種類で高い免疫効果が期待できます。バクニュバンスは15種類、プレベナー20は20種類の肺炎球菌に効果が期待できます。現在は65歳の方および60歳以上65歳未満で日常生活が極端に制限される基礎疾患を有している方に定期接種が行われており、定期接種にはニューモバックスが使用されます。

2回目の肺炎球菌ワクチン接種について

以前定期接種でニューモバックスを接種したから、「そろそろ5年たつので2回目を打った方がいいですか?」と聞かれることがあります。結論からいいますと、前述のとおりニューモバックスの効果は徐々に低下していきますので2回目の接種をおすすめします。特に高血圧や糖尿病などの生活習慣病をお持ちの方、肺や心臓、腎臓の基礎疾患をお持ちのかたは積極的に接種したほうが良いと考えます。問題は2回目はどの肺炎球菌ワクチンを打てばいいのか?です。現在、日本呼吸器学会や日本感染症学会から肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方が出ています。この考え方では3パターンが提示されています。1つは初回のニューモバックス接種から5年以上経過したら再度ニューモバックスを接種する方法です。2つ目は初回から1年以上経過したら効果の高いコンジュゲートワクチンであるバクニュバンスを接種する方法です。この場合にはさらに適切な間隔をあけてニューモバックスも接種します。3つ目はコンジュゲートワクチンであるプレベナー20を1年以上経過したところで接種する方法です。

ややこしいですが大雑把ににまとめると①ニューモバックス→ニューモバックス ②ニューモバックス→バクニュバンス→ニューモバックス ③ニューモバックス→プレベナー20の3通りです。学会からは2回目の接種に関してこの3つのどれが一番いいかは明確には提示されていません、あくまでこの3つから選択してくださいというスタンスです。何事もそうですが、選択肢が多いとかえって迷います(ネットフリックスで膨大な映画やドラマがありすぎてかえって何を観ようか決められないのと一緒です)。どれでも間違いではないのですが、当院では基本的には③のニューモバックス→プレベナー20をおすすめします。理由としてはあえて2回目に効果がやや弱いニューモバックスを再接種する必要はないこと、バクニュバンスは効果は高いですがカバーできる肺炎球菌の種類が15種類とやや少ないことです。プレベナー20の再接種なら効果も高くカバーできる範囲も20種類と多く一番理にかなっているからです。本当は3つすべての方法を詳しく説明して決めてもらうのが正しいのかもしれませんが、おそらくかえって混乱すると思いますので、シンプルに2回目はプレベナー20をおすすめするという形をとらせていただきます。ただし2回目も最初に接種したワクチンのほうが安心という方もいると思います、そこは希望も聞いて柔軟に対応いたします。(先生や医療機関によって考え方は異なると思いますので、当院以外で接種される場合には医療機関で詳しく説明をうけてください)ちなみ2回目は自費になります。

65歳の定期接種を受けずに66歳以上で初めて接種する場合

この場合にも3つのワクチンから1つを接種することになります。65歳の定期接種の場合にはニューモバックス接種と決まっていますが、この場合にはどのワクチンでも選択できます。この場合にも当院では効果が高く、20種類の肺炎球菌をカバーできるプレベナー20の接種をおすすめします。

おわりに

肺炎球菌接種は肺炎の発症や入院を抑制することが明らかになっています。まずは65歳の定期接種の案内が来られた方は忘れずに接種しましょう。できればその後の2回目の任意接種も受けましょう。また特に高齢者の方ではインフルエンザにかかるとその後に肺炎球菌をふくめた肺炎になることがあります。インフルエンザワクチンも毎年接種することも重要です。

 

参考文献

65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第6版)

成人肺炎診療ガイドライン2024

 

 

 

 

 

 

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