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つらい花粉症、お薬が効かないのですがどうすればいいですか?

[2021.02.07]

そろそろやっかいなスギ花粉症の季節になってきました。毎年つらい症状でお悩みの方も多いと思います。お薬を使ってもつらい症状が良くならない...そういう場合にはどうしたらよいのでしょうか。

日常生活で気を付けること

まずはスギ花粉をなるべく吸いこまないように以下のことに気を付けましょう。

①表面がけばだった花粉が付きやすいコートの使用は避けましょう。

➁帰るときは衣服や髪をよく払ってから家に入りましょう。帰った後はすぐに手洗い、うがいや洗顔をしましょう。

③花粉の飛散が多い日は洗濯物の外干しは避けましょう。

④こまめに室内の掃除をしましょう。窓際は特にこまめに掃除をしましょう。

(鼻アレルギー診療ガイドライン2020から一部引用)

花粉症のことだけを考えますと、花粉が多く飛んでいる日はなるべく窓は開けないほうが良いです。しかし現在は新型コロナウイルスの問題もあり、定期的な換気も大事です。特に職場や多くの人が集まる場所では感染予防のためには十分な換気が必要です。毎日花粉飛散情報をテレビなどでチェックしていただき、花粉が多い日は換気をした後に窓の付近の掃除をこまめにするなど工夫をしましょう。

花粉症治療の基本となるお薬(第2世代抗ヒスタミン薬)

現在は第2世代抗ヒスタミン薬というお薬が花粉症治療薬の基本になっています。花粉症で受診した場合、まずはこのお薬が処方されると思います。現在は一般のドラッグストアでも買うことができます。(ドラッグストアで買えるものとしてはアレグラFX、クラリリンEX、アレジオン20、エバステルALなどが相当します)

 

花粉症をもっている場合、スギ花粉などの原因物質が体に入ると、体内の肥満細胞という細胞からヒスタミンという物質が出てくしゃみ、鼻水などの症状を引き起こします。抗ヒスタミン薬はこのヒスタミンの作用をブロックすることで症状を和らげるお薬です。第2世代抗ヒスタミン薬は副作用が少なく、鼻水や鼻づまりなどのつらい症状にまんべんなく効果が期待できる、まさに花粉症治療薬のエースです。では第2世代抗ヒスタミン薬だけでは十分な効果がなく、つらい症状が続く場合にはどうしたらよいのでしょうか?

違うお薬を追加してみる

第2世代抗ヒスタミン薬だけでは症状がとれない場合には、違うお薬の追加を考えます。まずは鼻噴霧用ステロイド薬の使用をおすすめします。ステロイド薬は強力にアレルギーや炎症を抑えますが、点滴や飲み薬の場合は長期使用で色々な副作用が出る可能性があります。鼻噴霧用ステロイド薬は鼻に噴霧するため、全身の副作用が少なく安全に使用でき、かつ鼻炎改善効果も強いお薬です。使用開始後1~2日で効果が期待でき、長く使用することでさらに症状の改善が見込めます。

くしゃみ、鼻水よりも鼻づまりがつらいタイプの方にはロイコトリエン受容体拮抗薬という飲み薬が効果が期待できます。ロイコトリエン受容体拮抗薬は鼻づまりに対する効果は第2世代抗ヒスタミン薬よりも優れており、定期的に飲むことでさらなる効果が期待できます。

どうしても症状が改善しない場合には飲み薬のステロイド薬を使用することがあります。抗ヒスタミン薬とステロイド薬が合わさったセレスタミン®というお薬がよく使われます。このお薬は眠気が強く出る場合があります。また飲み薬タイプのステロイド薬は長期使用により色々な副作用が出る可能性があり、飲むとしても1週間程度に留めることが大事です。

眼の症状にも飲み薬の第2世代抗ヒスタミン薬は効きますが、症状が十分良くならない場合には第2世代抗ヒスタミン薬の目薬を使います。それでもつらい場合は点眼用のステロイド薬も使う場合がありますが、眼圧のチェックが必要です。

第2世代抗ヒスタミン薬の変更あるいは増量を試してみる

実は同じ第2世代抗ヒスタミン薬でも薬の構造式により三環系とピペラジン/ピぺリジン系の2つに大きく分けられます。三環系の抗ヒスタミン薬で効果が不十分な場合には同じ三環系のお薬に変えるよりもピペラジン/ピぺリジン系のお薬に変えると効果がみられる場合があります。(下の表をご参照ください)

例えばアレロック®を飲んで効かない場合には同じ三環系グループのアレジオン®を選ぶよりも、ピペラジン/ピぺリジン系グループの薬(アレグラ®やタリオン®など)を選びます。

 

第2世代抗ヒスタミン薬の中でザイザル®、ルパフィン®、貼り薬のアレサガテープ®は増量が認められています。これらのお薬を使用していて効果が不十分の場合には量を増やすもの一つの選択肢です。

最後の切り札?ゾレア®(オマリズマブ)

2019年にゾレア®(オマリズマブ)という注射薬が重症の花粉症に対して保険適応が認められました。今までは重症の気管支ぜんそくなどの治療に使われていましたが、今までの花粉症治療薬である抗ヒスタミン薬と鼻噴霧用ステロイド薬を使っても症状が改善しないアレルギー性鼻炎に対して、追加で使用することにより有効性が認められたことから重症のスギ花粉症を対象に治療薬として使えるようになりました。しかし使用にあたっては色々な条件を満たす必要があります。非常に高価な薬剤でもあることから誰でも使えるわけではありません。現在のところ、当院でも取り扱いはしておりませんが、使用可能な施設への紹介は可能です。こちらのサイトにも詳しい説明がありますので参考にしてください。

体質改善をめざす、舌下免疫療法

今までのお薬の話は、あくまで花粉症の症状を和らげることを目標としており、花粉症にならない治療ではありません。舌下免疫療法はシダキュア®というスギ花粉を原料としたエキスから作られたお薬で1日1回服用します。(お薬を舌の下に置き、1分間保持した後に飲み込みます)コツコツ服用することでスギ花粉に対して体が慣れていき、花粉症シーズンにおける症状の改善が期待できます。毎年つらい花粉症に悩まされている方にぜひおすすめです。詳細はこちらのページもご覧ください。

 

花粉症でお悩みの方は多いと思います。2019年のデータでは38.8%の方がスギ花粉症といわれています。花粉症がお薬を飲んでも良くならない場合には我慢せずに、ぜひかかりつけの先生や最寄りの医療機関に相談してみてください。

 

 

 

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