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血圧治療の目標値が変わりました。

[2019.05.31]

4月に高血圧治療に関してのガイドラインが5年ぶりに改訂されました。ガイドラインとは様々な医学的データをもとに学会などが診断や治療に対して一定の基準を推奨したものです。絶対的な決まりではないのですが、我々医療者が患者さんを診るさいの大きな道しるべになるものです。281ページとボリュームがあり、全て目を通すのもなかなか大変なのですが、いくつか前回のガイドラインから変更があったので今回ご紹介してみます。

guideline2019

〇血圧治療の目標値

今回の大きな変更は血圧治療の目標値が変わったことだと思います。今までは高血圧治療中の方で75才未満の方は140/90未満、75才以上の方は150/90未満が目標値でした。今回から75才未満の方は130/80未満、75才以上の方は140/90未満と目標値が厳しくなりました。前回のガイドラインが発行された2014年時点では血圧を140/90未満まで下げることで心臓病や脳血管障害のリスクを減らせることは明らかでしたが130未満まで下げることによってさらに良い結果が得られるかは不明でした。その後血圧を130/80未満に下げた方がより心臓病や脳卒中の発症を抑えることが複数の臨床試験から明らかとなったため、目標値が前回より厳しくなりました。ご高齢の方の場合には血圧低下により腎臓など臓器への負担がかかる恐れがあり140/90未満と75才未満の方より高めに設定されています。

 

〇血圧の分類について

130/80未満はあくまで血圧治療中の方の目標値であって高血圧という診断は今まで通り140/90以上です。今までは140/90未満の血圧を正常域血圧としていました。しかし120/80未満に比べると120-129/80-84、130-139/85-89と高くなる程、脳や心臓の血管病が増えることが明らかとなりました。このため120-139/80-89の血圧のかたは高血圧ではありませんが正常とも言い難いため、120/80未満を正常血圧、120-129/80未満を正常高値血圧、130-139/80-89の方を高値血圧と分類されました。ややこしいですが、とにかく上の血圧が120以上140未満または下の血圧が80以上90未満のかたは決して正常ではないため、お薬の治療は必要ありませんが減塩や定期的な運動など生活を気をつけて血圧を下げましょうというメッセージが込められているのかと思います。(糖尿病がある方や脳卒中、心臓病を起こしたことのある方は上の血圧130-139、下の血圧80-89でも血圧のお薬で治療を開始することもあります。)

 

〇血圧の下げすぎについて

今回のガイドラインでは血圧治療による血圧の下げすぎについても記載があります。若年~中年の方では血圧120未満、高齢の方では130未満になると脳卒中や腎機能の低下、体にとっての有害事象が生じることがあり注意を要します。しかし血圧をどこまで下げるべきかは個人差がが大きく、ある程度低下しても低血圧による症状や臓器障害がなければ降圧をゆるめる必要はないと記載されています。今回記載された数値もあくまで全体の目安であり、どこまで下げるべきか、どこまで下がったらお薬を減らすかなどは個人の患者さんによって大きく異なり、毎回患者さんごとに診察してしっかり判断することが重要だと思います。

 

お薬での治療も大切ですが、それ以上に生活習慣の改善(塩分を減らす、定期的な運動、野菜や果物の適度な摂取、禁煙、節酒、適正な体重の維持など)が非常に大切です。また治療中の方は普段からご家庭で血圧を測定することも大切です。高血圧自体は症状がないためついつい軽く思いがちですが、大きな病気の予防のため血圧管理は非常に重要です。治療中の方もそうでない方も血圧に注意して健康を維持していきましょう。

 

 

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