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COPDについて

COPDとは

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称です。主にタバコにより空気の通り道である気管支や、酸素の交換を行う肺(肺胞)に炎症が起きたり構造が壊れる病気です。

 末梢気管支(肺につながる奥の方の気管支)に炎症が起こると痰や咳が出ます。また炎症により気管支の中が狭くなり、吐ける息の量が少なくなります。肺(肺胞)が喫煙により破壊された部分を気腫性病変(肺気腫)と呼びます。肺(肺胞)が壊れて気腫性病変が多くなると、空気から酸素を体に取り込んだり、体の二酸化炭素を外へ出す(ガス交換といいます)働きが低下します。COPDが進行すると炎症は肺だけではなく全身に認められるようになります。全身の炎症は骨そしょう症や栄養障害、筋肉量の低下に結びつきます。

 

COPDの症状について

 慢性的な咳や痰、息切れなどがあります。息切れはCOPDの早期では自覚しないこともあります。病気が進むにつれて、坂道や階段を上ったときなどに息切れを自覚するようになります。さらに進行すると平らな道を歩くときでも息切れを感じるようになります。

 COPDが進行すると肺以外の症状として体重減少や食欲がなくなるなどの症状を認めるようになります。うつや不安などの精神症状を認めることもあります。

 

COPDの診断について

 タバコを吸っている、あるいは過去に吸っていた方で長引く咳や痰、動いたときの息切れのいずれかがある場合にこの病気を疑います。疑った場合には呼吸機能検査(息を思い切り吸ったり吐いたりする検査)を行います。COPDの特徴は息を一気に吐ききることができないことです。呼吸機能検査にてある一定の割合以下しか息を一気に吐くことができない場合にCOPDと診断します。ただし気管支ぜんそくや心不全、肺がんなどもCOPDと似たような症状をきたす場合があり、胸部レントゲンなどの検査を行い本当にCOPDかどうかさらに詳しく調べます。

COPDの治療について

残念ながら壊れてしまった肺の部分は元に戻ることはありません。しかし治療を行うことでCOPDの進行を弱めたり、つらい症状を和らげることができます。

①禁煙

一番大切な治療です。すでに禁煙している方は継続しましょう。禁煙だけで肺の機能低下を防ぎ、死亡率も減ります。禁煙補助薬を使用した禁煙治療も可能です。禁煙外来についてはこちらもご覧ください。

➁ワクチン接種

細菌やウイルス感染がきっかけでCOPDは急に悪化することがあります(急性増悪といいます)。またCOPDの患者さんは正常な肺の部分が少なくなっており、ちょっとした肺炎でも重症化します。インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種はCOPDの急性増悪や死亡率を低下させるため、接種が勧められます。

③気管支拡張剤

COPDのお薬での治療の基本となります。炎症により狭くなった気管支を拡げることにより呼吸機能が改善したり、息切れなどの症状が良くなります。気管支拡張剤には吸入薬、内服薬、貼付薬(シール)がありますが、気管支のみに作用し全身への副作用が少ない吸入薬が基本となります。COPDと気管支ぜんそくの両方を合併する方もいます。その場合には気管支ぜんそくで一番大事な薬である吸入ステロイドも使用します。

④栄養療法

COPD患者さんの場合には一回一回の呼吸をするにもたくさんのエネルギーを要します。またCOPDが進行すると炎症が全身へひろがり筋肉が減少することがあります。このためバランスの良い食事が必要です。

⑤運動療法

COPDが進行すると息切れがするので動かなくなり体力や筋肉が低下するため息切れが悪化し、さらに動かなくなるという悪循環をきたします。症状に応じてストレッチやウォーキングなどの運動も大事です。

⑥在宅酸素療法

COPDが進行し体の酸素濃度が低下した場合には酸素吸入を行ないます。

 

COPD急性増悪について

風邪やインフルエンザ感染などがきっかけで安定していたCOPDが悪化し治療を強化しないといけなくなる場合を「急性増悪」といいます。ときに呼吸状態も悪化し入院が必要になる場合もあります。急性増悪を起こすと治療により改善しても呼吸機能はもとのレベルまでは回復しないこともあります。さらに急性増悪を起こせば起こすほど呼吸機能や体力が低下していきます。予防接種や手洗いなどの感染予防、吸入薬などお薬を普段から決められた通り使用すること、などが急性増悪の予防には大事です。またいつもより動くとすぐ息が切れる、咳や痰が普段より明らかにひどい、ヒューヒュー、ゼーゼーと呼吸の音がする、などの場合には急性増悪を起こしている可能性があり早めの受診が必要です。

 

COPDはまだまだ一般の方にはなじみがうすい病気です。現在COPDの治療を受けられている患者さんのほかに、実はCOPDになっていても未受診でもちろん治療を受けていない方がたくさん存在すると言われています。(治療を受けられている方は氷山の一角にすぎません)

COPDは早期診断、早期治療が非常に大事な疾患です。たばこを吸われる方(あるいは過去に吸っていた方)で、慢性的に咳、痰、動いた時の息切れのある方はCOPDの可能性がありますのでぜひ医療機関を受診しましょう。

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