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気管支ぜんそくについて

気管支ぜんそくとは

 気管支ぜんそくは空気の通り道である気管支に炎症が持続し、さまざまな刺激に気管支が敏感になって発作的に気管支が狭くなることを繰り返す病気です。気管支ぜんそくにおける炎症は好酸球というアレルギーに関係する細胞が深く関係しています。

 気管支ぜんそくの症状がでるきっかけとしてはかぜなどのウイルス、アレルギー(ダニ、カビ、花粉、ペットなどよる)や冷房、冷えた外気、タバコの煙、アルコール、運動やストレスなど多岐にわたります。女性のかたの場合には月経や妊娠もぜんそくのきっかけになる場合があります。

気管支ぜんそくが出やすい年齢

ぜんそくはお子さんの病気というイメージがあるかもしれませんが、実は違います。成人の気管支ぜんそく患者さんのうち70~80%は小児期に気管支ぜんそくは持っておらず、大人になってから初めて気管支ぜんそくを発症した方です。大人になって初めて気管支ぜんそくになった患者さんのうち40~60歳台に初めて発症した方が60%を占めます。高齢になって初めて気管支ぜんそくになることも珍しくはありません。小児期に気管支ぜんそくになった場合は思春期にかけて良くなりますが、30%の方はそのまま大人になってもぜんそく持ちとなります。

(参考文献 日内会誌 107:2059~2066,2018)

気管支ぜんそくの症状

 呼吸困難の発作や喘鳴(ゼーゼーやヒューヒューと音を立て息苦しくなる状態)、咳などの症状をおこします。夜間や早朝に出やすいのが特徴です。このような症状を繰り返している方はぜんそくの可能性が高く、受診をおすすめいたします。

気管支ぜんそくの診断

 気管支ぜんそくの場合、実ははっきりとした診断の基準はありません。咳や呼吸困難が夜間や朝方に多く出る、梅雨時や季節の変り目など毎年同じ時期に症状が出る、かぜをひいたあと、ほこりを吸ったあと、花粉症の時期に症状が出るなどがあれば気管支ぜんそくの疑いが強まります。

 聴診にて息を吐くときにヒューヒューと気管支が狭くなっている音が聴こえればさらに疑い濃厚となります。普通の呼吸ではヒューヒューが聴こえなくても、思いっきり息を吐いてもらうとヒューと聞こえる場合があります。ただし気管支ぜんそくの場合、早朝に症状が出やすいですが、普段クリニックなどを受診される日中の時間には良くなっていて聴診してもヒューヒューが聴こえない場合も多いですので、聴診が正常でも気管支ぜんそくは大丈夫とは言えません。

 症状や聴診にて気管支ぜんそくが疑われる場合には次に当院では呼気一酸化窒素測定を行います。息を吐いたときに含まれる一酸化窒素を測定します、検査は10秒間息を吐くだけであり簡単にできます。気管支ぜんそくの方は数値が高く出ます。

 心不全(心臓が弱って肺や体がむくむ)でも呼吸困難やヒューヒューという音が聴こえ、気管支ぜんそくと紛らわしいことがあります。まれですが肺がんで気管支が圧迫された場合にも同じような症状が出ることがあります。胸部レントゲン検査はこういった気管支ぜんそくと紛らわしい病気を見分けるのに役に立ちます。

 こうした問診、診察、検査から気管支ぜんそくかどうかを総合的に判断します。最終的には気管支ぜんそくが考えられた場合には治療を行ない、良くなった場合には気管支ぜんそくと確定して治療を継続します。逆に症状が全く良くならない場合には診断が間違っている可能性があるため再度診察や適切な検査を行ないます。

気管支ぜんそくの治療

 治療には大きく分けて、気道の炎症を抑える治療(吸入ステロイド)と気管支を拡げる治療(長時間作用型β2刺激薬などの気管支拡張剤)の2つがあります。

 気管支拡張薬を使うことにより気管支がひろがり、息苦しさや咳などは比較的すみやかに改善します。しかし気管支拡張剤により症状が改善しても気管支の炎症は長期間残ります。このため症状が良くなったからとすぐに治療をやめてしまうと、気管支の炎症は残っているためちょっとしたことがきっかけでまた発作を繰り返すことになります。時には入院が必要になる大きな発作を起こしたり、また発作を繰り返していると気管支の壁が厚くなりお薬がだんだん効きづらくなってくることがあります。このため吸入ステロイドによる気道の炎症を抑える治療は症状が良くなった後も長期的に続ける必要があります。定期的に診察を行ない、症状や発作がなくなり安定した場合には徐々にお薬を減らしていきます。ロイコトリエン受容体拮抗薬やテオフィリン製剤といった飲み薬も病状に応じてお出しすることもあります。

 薬での治療以外に、禁煙、手洗いやワクチン接種などのかぜやインフルエンザの予防、肥満がある方はダイエット(肥満はぜんそくの悪化原因の1つです)、自宅のこまめな掃除、布団をこまめに干す、ストレスなどの生活改善、環境整備も大事です。

 気管支ぜんそくの方の中には通常の治療ではなかなか良くならない難治性の方がいます。吸入薬などの薬の使用が不定期になっている、吸入薬が上手く吸えていない、喫煙や肥満がある、などぜんそくが良くならない原因が明らかな場合もありますが、きちんと生活改善やお薬を使用しても良くならない方もいます。生物学的製剤という特殊な薬剤や気管支熱形成術という気管支に内視鏡を用いて電流を通電する治療も難治性ぜんそくの方に行なう場合もあります。(当院では行なっておりません)

 

〇夜間~朝方にかけて苦しくなる、咳が出る

〇毎年決まった季節に苦しくなる、咳が出る

〇冷たい空気を吸い込んだ時に咳が出る

など症状がある場合には気管支ぜんそくの可能性があります。早めに医療機関に相談をしましょう。

 

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