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院長ブログ

HPV(子宮頸がん予防)ワクチン(2022.05.22更新)

HPV(子宮頸がん予防)ワクチンは2013年4月に定期接種化になりましたが、接種を受けた方の一部に体の広い範囲で痛みが続く症状が認められたため、積極的な勧奨を差し控える方針となっていました。その後も安全性などに対して専門家にて継続的な審議が行われ、2021年11月に安全性に関して特段の懸念はなく、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ることがあらためて確認されました。このため今年(2022年)の4月より接種に対しての積極的勧奨が再開となっています。

今回は子宮頸がんと予防ワクチンであるHPVワクチンにつきましてご説明いたします。

子宮頸がんについて

子宮頸がんとは子宮の入り口(頸部)にできるがんです。年間約10,000人の方が子宮頸がんを発症し[1]、毎年約2,800人の方が子宮頸がんで亡くなっています[2]。

子宮頸がんの原因のほとんどは子宮頚部へのヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって起こります。子宮頚部にHPVが感染すると(主に性行為で感染します)、ほとんどの場合は自然に感染は良くなります。しかし一部の方は感染が持続し子宮頚部の異形成(がんの手前の状態)に至ります。さらに一部の方が異形成から子宮頸がんに移行します。HPVには100種類以上のタイプがあり、そのうちの15種類ほどが子宮頸がんになる可能性を持つ高リスク型に分類されます。特に子宮頸がんの約65%は高リスク型であるHPV16型と18型によって発症します。他にも高リスク型には31型、33型、35型などが含まれます。またHPV6型と11型はがんとは関係しませんが尖圭コンジローマという性器周辺にできる良性のできものと関係しており低リスク型に分類されます。

HPVワクチンについて

現在定期接種で使用できるワクチンには2種類あります。子宮頸がんの原因の約65%を占めるHPV16型と18型の感染予防効果がある2価ワクチン(サーバリックス®)と16型、18型に加えて尖圭コンジローマの原因になる6型と11型の予防効果も含む4価ワクチン(ガーダシル®)になります。

HPVワクチンの効果について

日本や海外よりHPVワクチン接種により子宮頸部の異形成(がんの手前の状態)を予防する効果が示されています。子宮頸がん自体の予防効果については接種した方と接種していない方を長期間調査して子宮頸がんを発症していないかを観察していく必要があります。このため日本ではデータがまだ不十分であり報告されていません。しかし接種が以前から進んでいるスウェーデンから2020年に世界で初めて子宮頸がんそのものを減少させるデータが報告されました。17歳になる前にHPVワクチンを接種することにより浸潤性子宮頸がんになるリスクが88%減少、17歳~30歳までに接種しても55%のリスク減少が示されました[3]。今後日本でも接種が進めば将来的には同じような子宮頸がんリスク減少のデータが示されることが考えられます。

ただしHPVワクチンでは予防できないタイプのHPV感染により子宮頸がんを発症する場合もあります。HPVワクチンと子宮頸がん検診(20歳以上、2年に1回)を組み合わせることが大事です。

HPVワクチンの副反応について

最も多い副反応は注射をした場所の痛み、腫れです。ほとんどの場合には局所の安静で数日で症状は消失します。また発熱を認める場合もありますが、体を冷やしたり、一般的な解熱剤の内服などで対応します。

以前に問題となったのが接種を受けた一部の方で体の広い範囲の痛みや、手足の動かしにくさ、体が自分の意思とは関係なく動いてしまうなど多様な症状が報告されたことです。現在の専門家による見解ではこのような症状は「機能性身体症状」(何らかの身体症状はあるものの、画像検査や血液検査を受けた結果、その身体症状に合致
する異常所見が見つからない状態)とされ、HPVワクチンとの直接的な因果関係は証明されていないとされています。

しかし副反応や機能性身体症状について心配されるのは当然と思います。不安が大きい場合には接種前に一度受診していただいても大丈夫です。また接種後に少しでも気になる症状があれば連絡や受診をぜひお願いいたします。

HPVワクチンの接種スケジュールについて

当院では4価ワクチンであるガーダシル®を使用しています。ガーダシル®では初回接種の2か月後に2回目の接種、1回目の6か月後に3回目の接種、計3回接種します。2価ワクチン(サーバリックス®)では接種間隔が異なりますのでご注意ください。

当院におけるHPVワクチン接種をご希望の方へ

当院でも自治体より案内が届いた方を対象に4価ワクチン(ガーダシル®)による定期接種を行なっております。予約が必要となりますのでお電話でお問い合わせをお願いいたします。また接種後には経過観察のため30分待機をしていただきますのでお時間に余裕をもっての受診をお願いいたします。

 

 

[1] 厚生労働省 子宮頸がん予防ワクチンQ&A

[2] 国立がん研究センターがん研究対策情報センター「がん登録・統計」人口動態統計によるがん死亡データ(1958年~2019年)

[3]N Engl J Med 2020; 383:1340-1348

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