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肺のレントゲンで異常を指摘されました。どうしたらよいですか?

[2021.07.23]

当院は呼吸器内科を標榜しており、健康診断などで行う肺のレントゲン検査(胸部レントゲン検査)にて異常を指摘され受診される方もいらっしゃいます。肺のレントゲンで異常があると言われたら、心配と不安のなかでの受診だと思います。今回は胸部レントゲン検査で異常を指摘された場合にどういう精密検査が必要になるかをご説明いたします。

まずは本当にレントゲンに異常があるのかどうか

レントゲン検査では空気は黒く写ります。逆に水分や骨などは白く写ります。肺は多くの空気を含んでますので黒く写ります。もし肺の中に病気があった場合には病気の部分は空気をあまり含まないので白く写ります。黒く写る肺の中に病気があると白い影ができるため、肺のレントゲン検査は病気の早期発見に非常に役立ちます。

しかしレントゲンにも弱点があります。肺の外側には肋骨や鎖骨などの骨があります。また肺の中には血管があり、血管の中は血液が流れています。レントゲンは立体的な人間の体を1枚の平面な写真として写しますので、肺のレントゲンには骨(肋骨や鎖骨)、血管、皮膚(乳房や乳頭など)が白く写り、黒く写る肺に重なってみえます。このため肺に重なる骨や皮膚、肺の中の血管などの一部が、あたかも肺の中にできた病気による白い影のように見えてしまうことがあります。レントゲンを見て異常がないかどうかを判断する場合(専門的には読影=「どくえい」といいます)、肺の中の白い影が病気によるものか、正常の骨や皮膚による影なのか判断が難しい場合も多いです。

実際に肺のレントゲンの読影は、個々の医師の主観が多く影響し、同じ肺のレントゲン写真をみても正常と判断する先生と、異常ありと判断する先生がいて判断が一致しない場合もあります。特に健康診断や肺がん検診の場合には、病気があるのに見逃すことだけは避けなくてはならず、判断に迷う場合には要精密検査とすることが多いです。このため、まずはレントゲン写真をもう一度撮影し、本当に異常がないかどうか読影をします。どう見ても異常がないと判断した場合には、これ以上の検査は行わず、ひきつづき健康診断でレントゲン検査を受けるようお話します。明らかな異常がある、または異常かどうかはっきりとは言えないが正常とも判断しにくい、などの場合には次の検査に移ります。

肺の断面図を撮影する胸部CT検査

胸部レントゲン検査で異常が疑われた場合、通常は胸部CT検査を次に行います。横になって撮影し、レントゲンと違い肺の断面図を撮影することができます。断面図なのでレントゲンで見えた白い影が骨や血管による影なのか、本当に肺の中にある異常な影なのかを100%見分けることができます。

CT検査で本当に肺の中に白い影があった場合、次にそれが何の病気なのかが問題となります。肺炎や結核などの感染症、間質性肺炎などのやや特殊な肺の病気の場合にはCTをみれば大体診断がつくことが多いです。問題となるのは肺がんで、肺がんなのか、良性のもの(炎症性変化など)なのかが大事になります。白い影が大きかったり、影の周りがギザギザしている場合などは肺がんが強く疑われるため、さらなる精密検査をすすめます。具体的には内視鏡を使って白い影の一部を採取し実際に顕微鏡を用いてがん組織があるかを調べたり、直接手術で切除をする場合もあります。白い影が小さい場合や影のかたちが肺がんらしくない場合には経過をみます。影の大きさなどにより経過をみる間隔は異なりますが、大体は1~3か月後に再度胸部CT検査を行ない、影が大きくなっている場合には内視鏡などの精密検査へすすみ、逆に影が消えていた場合にはその時点で経過観察終了となります。影が変わらない場合には徐々に間隔を伸ばしながら、胸部CT検査を繰り返し行い経過観察を続けていきます。一つの目安が2年間で、2年間の間で影が全く変化しない場合には悪性の可能性は低いと判断し経過観察を終了します。(あくまで一般的な目安であり、影の大きさや形により1年間で経過観察を終了する場合や、2年以上経過観察を続ける場合もあります。)

一番大切なことは?

胸部レントゲン検査を受けて要精密検査と結果が返ってきたら、とても不安で怖いと思います。ただしご説明したとおり、レントゲン検査で要精密検査となっても実は異常はない場合も多いのです。また仮に異常があったとしても健康診断や肺がん検診の段階で見つかる場合には、肺がんだとしても早期のことが多いです。一番良くないのは受診を伸ばし伸ばしにしてしまうことです。これは胸部レントゲンだけではなくすべての健康診断やがん検診に言えると思います。せっかく健康診断やがん検診を受けられたのなら、不安だとは思いますがしっかりと精密検査を受けるようお願いいたします。

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