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糖尿病の新しい注射薬「マンジャロ」が発売されました。

[2023.04.19]

糖尿病の新しい注射薬「マンジャロ」

2023年4月18日に糖尿病の新しい注射薬であるマンジャロが発売されました。非常に高い治療効果が期待でき、また体重減少効果もかなりあり、これからの糖尿病治療を大きく変える可能性があります。

マンジャロとは

注射薬ですがインスリンではありません。専門的には持続性GIP/GLP-1受容体作動薬というお薬で、週1回の注射になります。薬と針がすでにセットされた専用のペンになっており、患者さんはキャップを外してペンを皮膚にあてボタンを押すだけで簡単に注射ができます。2.5mgから使用を開始し4週間後に5mgに増量します。もし治療効果が不十分であればその後に7.5mg、10mg、12.5mg、15mgまでそれぞれ4週間以上あけて増量することもできます。

マンジャロの効果

HbA1cという糖尿病の状態を表す数値があります。一般にはHbA1cで7.0%を下回るのがひとつの治療の目標です。しかし複数のお薬を内服したり、インスリン注射をしてもなかなかHbA1cが7.0%未満にならない方も多くいらっしゃいます。

マンジャロの臨床試験のひとつに日本人の2型糖尿病患者さん636例をを対象にした臨床試験があります。(SURPASS J-mono試験)日本人で食事運動療法のみ、あるいは血糖を下げる薬を1つだけ内服していて糖尿病が十分に良くなっていない636例を対象にし、マンジャロ5mgで治療を受けるグループ、10mgで治療を受けるグループ、15mgで治療を受けるグループ、マンジャロではない薬で治療を受けるグループに分けられました。この臨床試験に参加した方のHbA1cはだいたい8.1%前後でした。結果としてマンジャロ5mgで治療を受けたグループのの94%、マンジャロ10mgで治療を受けたグループの97%、マンジャロ15mgで治療を受けたグループの実に99%がHbA1c 7.0未満になりました。さらにマンジャロで治療を受けたほとんどの方はHbA1cが6.5%未満を達成しました。(マンジャロではない薬で治療を受けたグループではHbA1c 7.0%未満を達成したのは67%でした)治療前と比べてマンジャロで治療を受けた方はHbA1cが2.4%~2.8%の低下しました。

体重に関してもマンジャロで治療を受けた方は約5kgから10kgの体重減少を認めています。

マンジャロの副作用

出やすい副作用としては悪心(ムカムカ)、嘔吐、下痢などの胃腸障害があります。もしマンジャロを使用してこのような症状が出る場合には制吐剤の使用や、一回あたりの食事量を減らす(小分けにして食べる)、揚げ物など胃腸に負担のかかる食べ物は控える、医師と相談してマンジャロの使用量を減らすなどの対応が必要になる場合があります。

値段はどのくらいですか

マンジャロの量によって変わります。一番少ない2.5mgを4週間使用する場合(1週間に一回注射する2.5mgのペン4本)、3割負担の方で2,309円の自己負担になります。標準的な量である5mgを4週間使用する場合(1週間に一回注射する5mgのペン4本)では3割負担の方で4,618円になります。

どのような方に使えますか

発売されたばかりのお薬であり、しばらくは慎重に使った方が良いかもしれません。HbA1cの低下作用が大きく、体重も大きく減少することからまずは比較的若めでHbA1cが高く、肥満傾向の方がいいかなと考えます。今後高齢者や痩せている方を対象にした安全性、心臓や腎臓にもよい影響(臓器保護効果)があるのかなど色々なデータや専門医の先生の知見が出てくると思われ、結果によってはさらに多くの方にすすめられる注射薬になる可能性も高いです。

当院でも治療に適した方がいましたらマンジャロを使用していきたいと思います。また今後新たなデータなど出ましたらご紹介いたします。

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