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足のむくみは何が原因ですか?

[2022.02.06]

足のむくみは外来でよく相談をうける症状です。足のむくみには色々な原因があり、足がむくんできた場合には何か大きな病気のサインではないかと心配になると思います。今回は足のむくみを認めた場合にどういうことが考えられるのかについて解説いたします。

主なむくみの原因について

むくみの原因は多岐にわたります。

心不全や腎不全、ネフローゼ症候群(タンパク質が大量に尿に漏れ出てしまう病気)、肝硬変など内臓からくるむくみ、足の静脈に血の固まりができてむくむ深部静脈血栓症、足の静脈の病気(下肢静脈瘤など)、リンパの流れに原因がある場合(リンパ浮腫)、薬の副作用、足の筋肉低下、座っている時間が長い場合など原因はさまざまです。

足のむくみの実際の診察について

診察の流れは患者さんによってケースバイケースですが、大まかには以下のようなかんじで行います。

①片足のむくみか、両足のむくみか

まずは実際にむくみをみてみます。片足のみのむくみの場合にはいくつかの原因が考えられます。片足のむくみで必ず考えるのは深部静脈血栓症(足の静脈に血の固まりが詰まってむくんでしまう病気)です。放っておくと血の固まりが肺に流れていくことがあり(肺血栓塞栓症)、命に関わることがあります。深部静脈血栓症の場合には片方の足全体がむくんで歩行時などに痛みを伴うことが多いです。深部静脈血栓症になる原因としては長時間足を動かさず(手術後でベット上の時間が多い、飛行機などで長時間座りっぱなしなど)血液の流れが停滞して血の固まりができるケースや、悪性腫瘍がある場合(悪性腫瘍があると血液が固まりやすくなる場合があります)です。深部静脈血栓症が疑われる場合にはDダイマーという血液検査が役に立つので調べたり、超音波検査やCT検査を行ないます。

片方の足がむくんで熱を持っている、皮膚が赤くなっている、発熱があるなどの場合には皮膚にばい菌が入っている(蜂窩織炎)可能性が高いです。

がん(特に婦人科系のがん)に対しての手術や放射線治療歴がある場合にはリンパの流れの障害でむくむ(リンパ浮腫)場合もあります。

➁内臓からくるむくみかどうか

両足のむくみの場合には心臓や腎臓、肝臓など内臓からくるむくみかどうかをまず考えます。心臓に持病がある、心臓の音に雑音がある、息切れがある場合には心不全が考えられますので胸のレントゲンを撮影し、心臓が大きくなっていないかや肺もむくんでいないかをチェックします、採血では心不全ではBNPという心臓の数値が上がりますので調べます。腎臓や肝臓が悪い場合にもむくみがでますので採血で腎機能や肝機能も調べます。尿から体のタンパク質が大量に漏れ出てむくむネフローゼ症候群という病気も見逃すと大変ですので尿検査も行います。のどにある甲状腺から出るホルモンが少なくなるとむくむ場合もあるので、採血で調べることもあります。

③内服薬の確認

飲んでいる薬の影響でむくみが出る場合もあります。代表的なものとしてカルシウム拮抗薬と呼ばれる血圧の薬、痛み止めや熱さましで使われる非ステロイド性抗炎症薬、チアゾリジンという糖尿病の薬などがあります。また甘草という成分を含んだ漢方薬も原因となることがあり、内服していないかどうか確認が必要です。

④上記のいずれにも当てはまらない場合

実際には①~③のいずれにもあてはまらないむくみの場合が多いです。この場合には足の筋力の低下、座っている時間が長い、塩分の摂り過ぎなど色々な原因が考えられます。とくにご高齢の方では下肢の筋肉低下などが関係していることが多いです。

ご高齢の方の足のむくみ

ふくらはぎの筋肉は伸び縮みすることにより足の血液を重力に逆らって心臓に送り返します(足は第2の心臓といわれます)。ふくらはぎの筋肉が弱るとこの足の血液を心臓へ送り返すポンプ作用が弱まり、足に水分がたまりむくんでしまいます。加えて座っている時間が長いと重力の関係で上から下に(心臓から足に)水分がたまりやすくなります。ご高齢の方では足の筋肉の減少や長時間の座りっぱなしなどがむくみに関係することが多いです。また血液中のタンパク質は水分を血管に留める作用があります。高齢者の方では食事量の低下などから血液中のタンパク質が少なくなると水分が血管から外へ漏れてしまいむくみにつながります。

むくみの治療について

心不全など内臓からのむくみであれば、内臓の病気の治療を行います。内服中の薬の影響が疑われれば、薬を中止したり、投与量の減量を試みます。

筋肉の低下などのむくみでは利尿薬(尿量を増やしてむくみをとる)を使用する場合があります。しかし利尿薬は長期の内服では腎臓の悪化や尿が出すぎて脱水のリスクなどがあり、必要最小限に使用はとどめます。利尿薬以外の方法、具体的には運動や減塩、食事による栄養状態の改善、下肢の挙上なども重要です。(下肢挙上は心不全によるむくみの場合には危険ですので必ず医師に確認しましょう)

足のむくみには色々な原因があります。放っておくと危ない原因もありますので、改善しない場合には医師の診察を受けましょう。

 

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