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BNP 心臓の元気度が分かる血液検査

[2024.09.04]

血液検査でBNPという項目があります。主に心不全が疑われる時に検査します、また人間ドックでの検査項目になっている場合もあります。BNPとはなんでしょうか。

BNPとは心臓から分泌されるホルモンです

BNPは心臓から分泌されるホルモンです。BNPの働きとして血管を拡げる作用や利尿作用(おしっこを増やして体の水分を外へ出す)があります。また心臓の肥大や線維化を抑えて心臓を保護する作用もあります。

BNPが増えるときはどんな時?

心臓の動きが弱って尿量が低下して、肺や全身に水分がたまってしまった心不全になるとBNPが増えます。BNPの働きにより血管が拡がったり、体に貯まった水分が尿として外に出ると心臓が楽になります。心不全という非常事態になると、自身を守るために心臓はBNPを多く分泌するようになります。

ただし高齢の方や腎臓の悪い方は心臓に問題がなくてもBNPが上昇する場合があります。心房細動などの不整脈、高血圧のある方も上昇している場合があります。逆に肥満があるとBNPは低くなる場合があります。

どのくらいの数値だと精密検査が必要?

基本としてBNPだけで判断することはありません。自覚症状(息切れや足のむくみがあるかなど)、診察(心臓や肺に雑音があるかなど)、場合によっては胸部のレントゲンで心臓が大きくなっているか、肺に水が貯まっていないかをまず確認します。このような所見がいくつかあり、BNPが上昇している場合には心不全になっていますので早急な精密検査、治療が必要です。では症状や診察で異常がない場合はどうでしょうか。

BNPが35を超えると心不全の前段階や、すでに軽度の心不全になっている可能性あり胸部レントゲン検査や心臓エコー検査での精密検査がすすめられます。100以上の場合にはさらに心不全の可能性が高く、200以上なら近いうちに心不全による入院が必要になったり状態が悪化する可能性があり速やかな精密検査が必要とされています。

しかし高齢の方、腎臓が悪い方は心臓に大きな問題がなくてもBNPが高かったり、逆に肥満の方は心臓が弱っていてもBNPは低めだったりしますので、症状、診察などを含めて総合的に精密検査が必要か判断する必要があります。

BNPに関連した血圧のお薬

サクビトリルバルサルタン(商品名 エンレスト)という薬があります。心不全の治療や高血圧の治療に使用されます。このお薬はバルサルタンとサクビトリルという化合物の複合体です。心臓から分泌されたBNPはネプリライシンという物質で分解されてしまいます。このお薬のサクビトリルはネプリライシンの作用を阻害します。ややこしいですがサクビトリルによりBNPが増加し、血管拡張や利尿作用による体液量の減少を介して血圧が下がります。もう一方のバルサルタンは今までにも使用されていた血圧の薬で、アンギオテンシンII受容体拮抗作用により血管の収縮や体液貯留を抑制し血圧を下げます。今までの血圧のお薬にはなかったBNP作用を強めることにより、心臓や腎臓保護効果もあり注目されています。血圧も非常によく下がる印象があります。

おわりに

BNP検査は心不全になっているかどうか、心不全の治療が上手くいっているかを知ることができる優れた検査です。自分のような循環器の専門医でなくても採血だけで数値が分かるので、非常に役に立ちます。

 

 

 

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