メニュー

糖尿病とがんには関係がある?

[2018.05.01]

〇糖尿病とがんには関係がある?

糖尿病とがん、あまり関係なさそうですが、じつは多くのがんで糖尿病の人は発生リスクが高くなることが知られています。日本人においても約33万人以上を対象とした大規模な調査において、糖尿病がある場合はがん発生のリスクが1.20倍になることが報告されました。またがんの部位においては大腸がんが1.40倍、肝臓がんが1.97倍、膵臓がんが1.85倍の発症リスクが認められています。(Cancer Sci 104: 1499-1507.2013)

 

〇なぜ糖尿病だとがんのリスクが高くなるの?

明らかな理由は分かっていませんが、いくつかの原因が考えられています。

ごはんを食べた後には、膵臓からインスリンという物質が出て血糖値を下げます。糖尿病の方はインスリンの効きが悪くなっており、血糖が十分に下がりません。効きが悪いなら量でカバーしようとするため、糖尿病の多くの方は体のインスリンの量が高くなっています。

過剰のインスリンはがん細胞の発生や増殖に関わる体内のシグナルを活性化させることが分かっており、がんのリスクの1つの原因と考えられています。

ほかにも高血糖や肥満による腸内細菌の変化なども、がんの発生や増殖との関連が考えられています。

 糖尿病の治療ではインスリンを注射したり、インスリンの分泌を促す飲み薬を使用することがあります。インスリン過剰とがんのリスクが関係しているのなら、このような注射や飲み薬の使用はがんの危険を高めないのでしょうか? これに関しては現時点では明らかな関係性は証明されていません。それよりもしっかりと飲み薬やインスリン注射を使用して血糖値をコントロールする方が重要です。

 

〇がんの発生予防や早期発見にはどうするの?

日本糖尿病学会と日本癌学会から以下の提言が出ています。

●食事療法,運動療法,禁煙,節酒は,糖尿病の人にとっても癌の予防につながる可能性があります。

●糖尿病の人は性別・年齢に応じて適切に,科学的に根拠のある癌検診を受診することが推奨されます.糖尿病で肝炎ウィルスが陽性の場合には,医療機関を受診して肝臓癌のスクリーニングを受けることが推奨されます。

●特定の糖尿病治療薬と癌との関係については,現時点でははっきりした結論は得られていません.医師の指示に従っ て,良好な血糖コントロールを維持することが大切です。

 

特に糖尿病だからといって特別なことをする必要はなく、適切な食事や運動を心がけ、定期的な健康診断や検診の受診が大切ですね。

 

 

 

 

 

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME